去勢をしていないオス犬は、後ろ姿を注意深く見ると睾丸が見え隠れするので、「去勢していないな」ということがわかる場合が多いと思います。
そんなとき、飼っている仔が「昔よりも黒ずんだ気がする」なんてことを感じられた方もいらっしゃると思います。
このような黒ずむ色の変化は睾丸を持つオス犬には多くみられることなのでしょうか?
今回はその色の変化についてお話ししたいと思います。
睾丸の色は成犬になった時、既に黒かった?
オス犬の睾丸はそもそもいつ頃から確認できるものなのでしょうか?
最初から通常ある位置に見られると思っていた方、実は違います。
オス犬の睾丸(精巣)というのは、産まれたばかりの時はお腹の中に隠れている状態なのです。
ではいつ頃最終位置に移動するのでしょう?
上記にもあるように、犬の精巣は産まれたばかりの時には腹腔内に位置しています。
その後、
生後30日齢ごろまでに鼠径管を通過して最終位置まで移動するのです。
それでも30日齢では触ってみないとわからないくらい小さいことがほとんど。
その頃は
睾丸としての膨らみもなく、周囲の皮膚との境界線などないくらい変化はないのです。
年を追うごとに黒ずんでいくのは正常とみてよい
では、睾丸が黒くなっていくのはいつ頃なのでしょうか?
一般的に小型犬も大型犬も成長過程で睾丸が黒ずむタイミングはほぼ同じであると思います。
どちらかというと成長によって変化が起こるというよりは、外的影響によって睾丸が黒ずむと考えられています。
その外的影響とは?
これは行動による影響と自然の影響が大きく関わっていると思われます。
行動による影響とは、フセやオスワリなど睾丸が地面に接触して刺激されることを指します。
睾丸の皮膚は薄く、精巣が熱を帯びないように放熱させる働きがあります。それでも睾丸は体からぶら下がっていますから、どうしても体の動きによって地面に触れてしまうのです。
睾丸の色の黒いのは、睾丸の皮膚にメラニン色素が増加していることを指します。人の日焼けでもそうですが、紫外線や炎症、擦り付けるなど外的刺激によってメラニン色素が増えていくと考えられます。
異常だと思われる場合の睾丸の色の変化とは?
犬の睾丸は色は生活にあまり大きな影響はない、と安心されている方は多いと思います。
それでも黒くなる場合で異常とされるケースとはなんでしょうか?
①内出血や血行障害によって精巣自体の血液の流れに異常が生じた場合
②睾丸表面の皮膚に黒色腫などの皮膚腫瘍が発生した場合
これらの変化が異常といって良いでしょう。
①ではその仔自身が異常を感じるケースが多いので、気にしたり痛がったりしておかしい様子があれば分かります。問題は②で、痛むことも痒がることもなく気にしないケースがほとんどなので、日々の体のチェックで見た目の変化に飼い主さんが気がついてあげなくてはなりません。気がつくポイントとしては、色だけでなく腫瘍の場合は必ず表面から盛り上ったような形の変化が認められるので、そこをチェックしてあげてください。
まとめ
いかがでしたか?
異常である場合と異常でない場合の変化を見逃さないことが重要です。
普段から体をよく見てあげることが大切ですね。