猫にはいわゆる「ネコ風邪」と呼ばれる、感染症があることをご存知の方も多いと思います。 ですが、この「ネコ風邪」、避妊手術することにおいてどう問題になるのでしょうか? ご存知ない方のために、今回はこの感染症についてご説明したいと思います。
「ネコ風邪」と言われている疾患は複数の原因が存在しています。
実際に多く見られているのは主にこの3つの疾患ですね。 これらは母猫から産まれた頃から感染していることもあり、放っておくと非常に重症化しやすく、厄介です。その症状は、
仔猫だと目と鼻が大量の分泌物でグチャグチャになってしまうこともあり、ご飯が食べられなくなってしまうと一気に弱ってしまうので、こうなると非常に危険です。 動物病院で適切な治療を受ければ、その仔の体力や重症度によってゆるやかに回復していくはずですが、一度感染したヘルペスウイルスは体内に潜伏してしまうため、回復後も体調の変化によって軽い症状がぶり返す場合もあります。 また、重症化して危険な状態から回復した猫は、呼吸器に後遺症が見られることがあるのです。 この後遺症については次の項目でお話しします。
呼吸器の症状が一度重症化して回復した仔は、以下のような後遺症が見られることがあります。
これは見た目でわかるものもあれば、レントゲンでしか分からないものもあります。 そのため、避妊手術など呼吸管理が必要な全身麻酔が必要なケースでは、正確に把握していないと手術リスクが非常に高まるのです。 上記の項目にあげた「無気肺」とは、いわゆる肺が潰れて機能しなくなったことを言い、その肺が再び使えるようになることはありません。人と同じく肺は右と左に分かれていますが、そのうちの一部でも換気できなくなると、安静時において問題がなくても麻酔時に循環機能が下がった場合に問題が出るのです。 自発呼吸による手術を行う場合は、酸素を身体中に行き渡らせる能力が落ちてしまい危険なので、 手術を行う前にはできる限り胸部レントゲン検査も受けられた方が良いと考えています。 検査を受けていれば事前に対策も取ることができるため、手術が可能な場合もあります。
いかがでしたでしょうか? あなたの猫ちゃんが小さい頃に風邪をこじらせたことがあれば、避妊手術を受ける際には獣医さんにしっかりとその旨を伝えておくことが大切ですね。