現在ほとんどのオス猫の飼い主が去勢手術を行なってくれており、未去勢のオス猫というのはずいぶんと少なくなりました。
そのため、最近はあまり見かけなくなったのですが、長毛種の洋猫のオスでは、
尻尾の付け根のあたりがベタベタと脂っぽくなっていることがあります。
これはオス猫に多い皮脂の過剰分泌によるもので、悪化して炎症をおこしたものを
スタッドテイル(尾腺炎)と呼びます。
スタッドテイルをおこす猫
スタッドテイルは
長毛種の洋猫、例えばペルシャやソマリのような猫種に最もよくみられます。また、純血種の洋猫では、シャムなどの毛足が短めの猫でも注意が必要です。
特に
オス猫が性的に成熟してからみられることが多く、これはホルモンの刺激が関係しているものと考えられています。
スタッドテイルの症状
猫では尻尾の付け根のあたりに、脂を分泌する腺が集まっています(尾腺)。
この尾腺からの皮脂の分泌が過剰になることで、尻尾の付け根がベタベタと汚れるようになるのです。このベタベタはその後、黄ばみや黒ずみへと変わります。
周囲の毛は固まり、フケが増え、せっかくのキレイな毛並みが失われていきます。
さらに悪化すると、
細菌感染によって尾腺は炎症を引き起こし、ボコボコと腫れあがるようになります。
このボコボコとした様子が、鋲(びょう)を打ったように見えることから、スタッド(鋲)テイルという名前がついています。
スタッドテイルの治療
治療では患部を清潔にすることが一番大切です。薬用のシャンプーで洗浄したり、毛を刈って消毒液で拭いたりすることで、出来るだけ衛生的に保ちます。
また、細菌感染による炎症を起こしている場合は抗生剤の投与を行ってもらいます。
しかし、せっかく頑張って治療を行っても、
スタッドテイルはとても再発しやすい病気です。
そのため、治療後も飼い主の日頃のケアが重要になります。
洗浄や消毒、ブラッシングなどを続けてもらうのですが、これらを嫌がる猫は多いので飼い主もなかなか大変です。
未去勢のオス猫で発生が多いことから、
好発の猫種では去勢手術を行うことが予防になるかもしれません。
まとめ
スタッドテイルはフワフワの毛並みがチャームポイントの洋猫に良くみられます。一見無関係にみえる去勢手術ですが、実はこの美しい毛並みに一役かっていたのです。
「毛づくろいのせいかな?」と思っていた毛のベタつきはありませんか?
あなたの猫が未去勢の洋猫であればさらに要注意です。もしも気になる様子があれば、まずは獣医師に相談してみて下さいね。