猫というものは元来、外の世界が大好きです。 最近は少数派にはなってきていますが、猫の要求に負けてしまい、なくなく猫を外に出す飼い主様もいらっしゃいます。 また、ちょっと目を離したすきに脱走されてしまったという飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか? 猫が外に出歩いたときのリスクとして、喧嘩による咬傷、交通事故、感染などがあげられますが、未避妊のメス猫の場合、妊娠のリスクもあげられます。 無論、室内飼いだったとしても、そこに未去勢のオス猫と未避妊のメス猫がいれば、交配、妊娠のリスクは極めて高いと思います。 ある日に猫のお腹をみて大きくなっていることに気づき、もしやと思って動物病院に来る飼い主様も少なくはありません。 今回は交配、妊娠発覚後の避妊手術についてお話したいと思います。
妊娠初期とはおおよそ、交配後20日前後までと考えて下さい。 この場合、エコーなどの検査でも妊娠しているかどうかはわかりません。飼い主様がもしやと思い、早めに避妊手術をご依頼されるケースが最も多いのですが、あまり通常の手術とは変わりはありません。 手術のリスクも通常時の場合と同等と考えていただいていいと思います。 しいて言えば、術創がやや大きくなるかもしれませんが、言われなければわからないレベルです。
ちなみに猫の妊娠期間は60日です。 交配後30日以降を中期とさしますが、この辺りから胎児は日に日に大きくなっていきます。 出産直後ではかなり大きくなり、しかも猫は多くの胎児を妊娠をしており、様々なリスクが考えられます。 まずは手術のリスクです。 熟練した獣医師であれば、いわゆる堕胎はそれほど難しい手術ではありません。 ただし、腹腔内の大部分を占める臓器となっている子宮は、摘出した直後に血圧の低下を招くことがるため、術中の急変のリスクは少なからずあります。 また出産直前になると、貧血やその他の症状が出ているケースもあるので、万全な状態でない時に手術を行うため、術中、術後の経過観察の時期に思わぬ体調不良を起こす可能性があります。 堕胎は母体にとって少なからず負担がかかるものだということを、頭の中に入れていただければと思います。
出産後、猫の体調次第ではやはり貧血や低カルシュウムなどの症状が見られており、麻酔、手術そのものが危険であることがあります。 また、出産後しばらくの間は子宮が非常にもろく、時にかなりの手術がかなり困難になることがあります。 私個人の経験としても、出産直後の避妊手術で通常の方法では子宮を結紮することが出来なかったことがあり、かなり冷や汗をかいた経験があります。
もちろん、若く健康なうちに手術をすることがベストだとは思います。 ただ、タイミングを逃したとか、運悪くということは世の中にはよくあることです。 妊娠中でも手術ができないわけではありませんので、担当する獣医師とよくご相談して手術に臨んでいただければとおもいます