去勢手術はなんとなくやらないといけないのかぁとほとんどの飼い主様が思うこと。 いつかはいつかはと思っているうちに、あっという間に年齢が経ってしまい、気づいたらそこそこの年齢に。 動物病院で獣医師との会話だったり、公園のちょっとした話題で去勢手術の話が出た時に、この年齢で去勢手術をやった方がいいのだろうか?と疑問になる飼い主様も多くいらっしゃると思います。 高齢になればなるほど、去勢手術をやらないがために出てくる病気も多くなってくる一方で、年齢による麻酔手術の影響も心配になってきます。 今回はそんなちょっと年齢が経ってしまったオス犬の去勢手術についてご説明したいと思います。
獣医師としての意見ですが、結論から言えば去勢手術はある程度年齢を重ねてもやった方がいいと思います。 よほどの疾患がを抱えているとかの健康面に問題がないのであれば、去勢手術は病気の予防という観点においては、必要なものだと思うからです。 獣医師によって多少意見は違ってくると思いますが、個人的には10歳までであれば去勢手術は積極的に考えたほうがいいと思います。 また、そのころには大分と歯石が付着していると思いますので、一緒に歯石除去などを行うとなおいいと思います。
見た目は問題がなかったしても、若い個体と違って意外と各臓器が衰えていることもあります。 したがって血液検査と胸部のレントゲンは必須だと思いますし、犬種によってはその他の検査、例えば甲状腺機能の測定や心電図などの検査が必要になります。 無論、そこで異常が見つかった場合、治療を行えば麻酔をかけることが可能かどうかを検討する必要があります。 稀ではありますが意外と手術を考えられないような結果が出てくることもありますので、検査は省かず、できるだけ全身をスクリーニングするつもりで行う方がいいと思います。
基本的に術後の経過は若い個体の術後とあまり変わりはありません。 特に誰かがつきっきりで看病しないといけない状況にはほぼなりません。 ですが術後に肥満になりやすい傾向にさらになると思われるので、食事の管理はしっかりと行ったほうがいいと思います。
去勢手術を行わなければ、みな病気になるというわけではありません。 統計的には病気にならないことの方が多いと思います。 前立腺の疾患、会陰ヘルニア、精巣の腫瘍がよくみられる病気ですが、これらの病気は今は問題がなくてもさらに高齢になった時に出てくる疾患です。 メスの避妊手術と異なり、これらの疾患は年齢が経ってからの手術となっても、十分な予防効果が期待できるので、健康面に問題がないのであれば、できるだけ前向きに検討していただければと思います。