飼い主の皆様にとって、去勢手術は一生に一度の経験だとは思いますので、これってどうなんだろう?とか、これって大丈夫なのかな?なんていう不安な気持ちになることも多いと思います。
術後に心配になって、問い合わせがあったり、来院される場合もありますが、自宅で様子を見ても問題ないことがほとんどです。 今回はそんな飼い主様のご心配されるような代表的な術後の様子をご紹介します。
傾向としては小型犬や、柴犬に多く、たいていは預かったストレス、手術の疲れなどのメンタル的な要因が多いように思えます。 基本的には無治療で構いません。 3日程度すれば、元の状態に戻ることがほとんどです。
2つの理由が考えられ、一つは傷口を舐めないようにエリザベスカラーなどを装着していると、全く動けなくなる犬がいます。 この場合一度エリザベスカラーを外していただきて、様子を見ていただくことが一つの案です。 もう一つの原因は、傷口の痛みに対して敏感で、もう動きたくないといった感じで動かなくなる犬もいます。
一般的な去勢手術であれば、術後の傷口の痛みが続くことはほとんどなく、一晩もすれば回復することがほとんどです。
ストレスで下痢をする場合もありますが、去勢手術もしくは術後に処方された抗生剤が合わないケースも多くみられます。 その疑いが強いようであれば、投薬を中断してもいいかどうか、担当の獣医師に相談していただく方がいいと思います。 術後の下痢は、意外と続くケースもありますので、整腸剤などの処方箋が必要になることも多いと思います。
ストレスでというのはやはり大きな原因になるとは思います。 また術前術後から食事をとらなかった場合、空腹時の嘔吐を頻発するケースもあります。 下痢と違い、こちらは1日程度で落ち着くケースが多いので、慌てずに様子を見てもいいと思います。
術創が腫れている、赤くなっているなどは、術後によく起こることであり、個体差も非常に大きく影響します。 術部の腫れは、舐めたりしていることがなければ、無処置でも1週間程度でほぼ治りますから、自宅で舐めている様子があるかどうかをよく観察してあげてください。
犬の皮膚や皮膚の下にある組織は、細かい血管がいっぱいあるのですが、細い血管とは言いつつも、出血する量は意外と多いケースもあります。 手術中、大きな血管は縫合糸で縛って対応しますが、細い血管は圧迫などをして止血されるのを待つことがほとんどです。 術後、自宅に帰った後の出血は、たいていこういった細い血管からの出血であるため、タオルなどに血がついていたとしても、安静にしていただくことがメインの治療であり、出血しているところをさらに縛りなおすなどの処置はほとんどしません。
ですので、自宅でゆっくり休ませてあげるようにしてください。
やっとの思いで手術から帰ってきた愛犬の、いつもと違う様子に不安を覚える気持ちはとてもわかります。 ただ、たいていの場合は時間が解決してくれるので、あわてずまずは家で様子を見ていただいて構いません。