獣医師として、猫を飼う上では、ほぼ必ず行うであろうものに対して、ある程度ご費用のご準備をしておくことをお勧めはしていますが、そうはいっても高額なものに関してはうまく資金繰りが行かないケースもあります。 避妊手術の場合、オス猫に比べると、1万円から2万円ほど、ご費用はやや高めになります。避妊手術は一生に1回きりのことなので、前もっての予定も立てやすいとは思いますが、3万円から5万円ぐらいの費用が一気に掛かってくるので、できるだけ抑えたいものです。
特に去勢手術、避妊手術に関しては、一般的な動物保険は対象外になるため、高額な支払いは否めないところです。 ところで飼い主の皆様は、助成金という制度をご存知でしょうか? 全額とはいかないまでも、地方自治体から猫の去勢、避妊手術に援助が出る制度です。 今回は助成金についてご説明いたします。
そもそも助成金とは、望まない繁殖による不幸な猫が出ないようにするための、動物愛護の一環として、地方自治体が中心となって行っています。 狂犬病の予防のため、いわゆる野良犬は厳しく管理されており、飼い主が不明な状態で町の中を徘徊する犬は今の日本にはもういません。 一方で猫はというと、野良猫の問題はどこの地域でも大小の問題を引き起こしていますし、飼い猫でさえ日本の風習として、家の外と中を自由に行き来するような飼い方をされている方も大勢いらっしゃいます。助成金とはそういった背景のもとできた制度であると言えます。
運営しているのが、地方自治体のため、その補助となる対象や補助金の額は、飼い主様が住んでらっしゃる地域によって大きな違いがあります。 基本的には、住んでらっしゃる市町村の自治体の所定の書式を記入したうえ、やはり住んでらっしゃる市町村の動物病院にて手術を行い、手続きを踏んだうえで補助金を受け取ることができます。
少しめんどくさそうですが、今はたいていの自治体で、必要書類はインターネットにてダウンロードすることも可能ですし、その後の手続きも10年以上前に比べるとかなり簡略化されています。
助成金の対象となる猫は、やはり住んでらっしゃる市町村によって大きく変わってきます。 保護した猫に限定している場合や、メス猫の避妊手術のみの場合もあれば、とくに限定なく飼い猫のオスでもメスでも対象としているところもあります。 自分の住んでらっしゃるところがどういった対象になっているのかは、たいていはHP上で公開されています。 生活衛生(課)というところが管理していることがほとんどなので、参考にしてみてください。
特に多頭飼育をしていると、避妊手術のご料金はバカにはなりません。 こういった制度をしっかりと活用して、ご負担額を抑えていくことも大切だと思います。