2015年10月現在の調査結果(ペットフード協会調べ)では、犬と猫の飼育頭数の合計は約2万頭で犬猫の比率はほぼ同数となっています。また、猫の平均寿命は15.75歳で年々伸びており、年齢については高齢期とされる7歳以上の割合は猫で42.1%となり、人と同じく猫でも高齢化が見て取れます。 日本の全世帯数は現在約5万世帯。単純計算では3世帯に1つは犬か猫かを飼っていることになります。1世帯で何頭も飼っているところもありますので世帯割合で言ったら実際はもっと少ないのだとは思いますが、犬猫との暮らしはまだ密接にあると言って良いでしょう。 猫も高齢化が進む中、まだ避妊手術を終えていない方で、今後手術を行うかどうかということについてはどのようにお考えでしょうか? 今まで避けてきた避妊手術をもう一度考える意味で、今回何歳まで避妊手術が可能なのかということをお話したいと思います。
メス猫への避妊という、麻酔下での開腹が必要な手術に何歳まで耐えられるのでしょうか? 理論的に言えば、内臓や循環機能が正常に維持されてさえいれば、何歳でも可能ということです。ただ、7歳以上の高齢期に入った猫は、細胞の老化により体の機能に衰えが出てきます。 そのため、血液検査など術前検査を行ったとしても高齢期に入って目に見えない老化が始まった猫に対して、安全に手術ができるとは言い切れません。 獣医師の経験上、病気や繁殖予防を目的とした避妊手術は高齢期前(7歳未満)までに済ませておくことをお勧めしています。 もちろん、子宮や卵巣などの生殖器系の疾患にかかって生命の維持を脅かす場合には、子宮卵巣の摘出手術(=避妊手術)で元気になるために手術を行うべきとお伝えしています。
先ほどは避妊手術の限界年齢についてお話してきましたが、今度は本当にお勧めする避妊手術の年齢についてお話します。 これまでのブログでもお伝えしてきましたが、内臓機能が成熟する6ヶ月以上1歳未満の若い時期に手術を行うのが一番良いといえるでしょう。 この時期をお勧めする意味としては、6ヶ月齢以上で性成熟し発情期を迎えることでメスの性ホルモンの分泌量が高まり、その後に乳腺腫瘍や子宮疾患を発症するリスクが高くなってしまいます。 このような病気にかかるリスクを少しでも抑えるために、初めての発情を迎える前に手術を行うべきであると、データからも証明されているのです。
このブログをお読みくださっている方々の猫ちゃんの年齢は様々だと思います。 その様々な年齢の中で、避妊手術を行うかどうか迷っているのだけれど何歳から何歳まで避妊手術が可能なのかということを知り、為になったと思ってくだされば、私としては嬉しく思います。