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猫の避妊手術前の血液検査でわかる?もしかして腎不全!?

2016.04.06
メス猫の避妊

避妊手術前に血液検査で体の状態を把握しておくことは重要なことです。 手術では全身麻酔をかけるため、内臓の問題があると、危険性があり手術ができない場合があります。 とくに猫は腎臓が悪くなりやすい動物です。 腎臓に問題がある「腎不全」になると、麻酔薬の代謝も滞り、麻酔からの覚めが悪くなり、リスクが高まるでしょう。

術前の血液検査は必要?

血液検査

手術前に事前に血液検査を行う動物病院は多いはずです。 私も必ず術前の血液検査はおすすめします。 手術代金がかかるにもかかわらず、加えて血液検査の費用がかかると、飼い主さんは「できればやりたくないな・・」と思う方もいるでしょう。 しかし、病気の存在を知らずに麻酔をかけ、手術中に急変し亡くなってしまうケース、または術後に状態が悪化してしまうケースは少ないとは思いますが、あり得ます。

血液検査でわかること

腎臓肝臓

動物の血液検査はほとんど人間を同じ検査項目を行っています。 項目の数・種類で異なりますが、腎臓、肝臓、白血球、赤血球、貧血の程度、血糖値、アンモニア、リン、カルシウム、コレステロール、中性脂肪、電解質、炎症反応などなど。 意外に多くのさまざまな部分を測定できます。 手術前に重要なのは、「腎臓・肝臓」でしょう。他にも病気が潜んでいることがあるので、もちろん確認できる項目すべて検査できることが一番いいですが。 「腎臓・肝臓」は少し前述しましたが、麻酔の代謝に関わってきます。 この麻酔の代謝がうまくいかないと、麻酔の効きが悪かったり、覚めが遅くなったりしてしまいます。それは、通常よりも麻酔薬の使用量が多くなり猫の身体に負担をかけたり、もしくは麻酔から覚めずにそのまま命を落とす可能性もあります。

猫の腎数値

猫の腎数値

術前の検査ではじめて腎不全が見つかる場合もあるでしょう。 猫は腎不全におちいる仔が多いのです。 基本的には高齢の約10歳以上の猫が発症することが多いです。まれに若齢でも発症もありますが。 血液検査で腎臓の数値と言うと、「尿素窒素(にょうそちっそ)・BUN」と「クレアチニン・CRE」です。 この腎数値のBUNが約30/dL以上、CREが約1.8/dL以上が正常値より上昇していると判断します。 ただ、0.1くらいの範囲外なら誤差と思ってもいいでしょう。 しかし、私の個人的な見解でもありますが、BUN4050/dL以上、CRE2.5/dL以上だと、「腎数値が高い」と考えます。また、BUN80100/dLCRE4.05.0/dLの場合は「腎数値がとても高い」と判断し、すぐに治療をすすめます。 他にも腎臓に関連のある血液検査項目として、リン、カルシウム、電解質、ヘマトクリット(貧血の程度)があるので、あわせて確認したい部分です。 ちなみに、BUNは食事後に数値が上がってしまうことがありますので、検査前は絶食していきましょう。

腎不全の症状

腎不全の症状

検査で発覚する猫もいれば、猫の様子の変化で気づく飼い主さんもいるでしょう。 腎不全の一般的な症状として

  • 食欲が落ちた
  • 吐く
  • やせてきた
  • 毛がパサつく
  • 元気がない

 

これは、腎臓の機能が落ち、腎臓でも排泄機能が滞り、通常なら体外へ出したい代謝産物が排出できなかったり、無駄に水分を体外へ出してしまうことが起こり、結果、脱水や気持ち悪い状態におちいるためです。

まとめ

検査は必要

若い猫の避妊手術を考えている自分には関係ないだろう、と思っているあなた! 確かに若齢の猫が腎不全になる可能性は低いですが、ゼロではありません。 万が一ということが手術中に起こらないためにも です。 また、もし現在の検査上問題がなくても、今後血液検査で異常値が出たときと比較するためによい指標となります。 とくに人間に比べ一年に57年くらい年をとると言われている猫たちは、手術がなくても定期的に血液検査で健康診断を行うことをすすめます。

 
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